【フィラリア】
フィラリアは、犬の肺動脈に寄生する虫で蚊によって移されます。
感染すると血液の循環障害が起こって、咳が出たり、お腹に水が溜まったり(腹水)、突然死したりする恐ろしい寄生虫疾患です。(犬だけでなく猫も感染します)
ですが、予防をしてあげれば100%防げる病気です。知らないうちに感染してしまっていた…ということにならないよう、大切なペットたちを守るために必ず予防してあげてください。
感染を予防するために様々なタイプの薬があり、当院ではジャーキータイプ・錠剤・粉薬・注射薬・塗り薬を用意しています。
予防薬を与える前にはフィラリアに感染していないかどうかを少量の血液で検査をします。(所要時間5分)
陰性の場合は、ワンちゃんの体重に合った、飼い主さんが与えやすい予防薬を処方します。
陽性の場合は、予防薬を与える前に(投薬でショックを起こさないように)ショックを和らげるお薬も一緒に処方します。
予防薬の投与を開始するタイミングは、「蚊が出始めてから約1ヶ月後から」となります。
ワンちゃんの生活環境で多少違いはありますが、岐阜県では 4~5月頃から11月・12月頃までが予防期間となります。
蚊が出始めたからといってすぐにお薬を投与する必要はありません。それは、フィラリアが成長するタイミングと関係しています。
フィラリアの幼虫をもった蚊に刺された時、犬の皮膚にフィラリアの幼虫が入り込みます。その幼虫は2~3ヶ月程度で成長しながら肺動脈へ移動して成虫になります。予防薬は、フィラリアが幼虫でいる間に飲みます。飲んだ時に、ワンちゃんの体の中にいる幼虫を全て殺してしまいますから、成虫にはなりません。(ちなみにフィラリア予防薬は成虫には全く効果がありません。)
薬を飲んでから1ヶ月間ずっと効いていると勘違いしがちですが、飲んだその時のみに効いています。

色々な種類の予防薬の中で、飲み薬タイプ(ジャーキー・錠剤・粉薬)や 塗るタイプは毎月1回の投薬が必要となります。
(1回投薬を忘れると2ヶ月空いてしまうので、フィラリアが成虫になってしまう危険性があるためです)
注射は1回打つと1年間効果があります。(1歳未満の子や、体重の増減が大きい子は打てません)
【ノミ・マダニ】
お散歩に行かれるワンちゃんや外へ行くネコちゃんは、ノミ・マダニの予防もされることをお勧めします。
予防薬には、飲み薬タイプ(ジャーキー・錠剤)や 塗るタイプがあります。
ノミは1年中、マダニは特に3月~11月に活動しています。
ノミがペットに寄生すると、吸血により、その唾液成分が体内に入ることでアレルギー反応が起こり、激しいかゆみや湿疹・脱毛などを伴う皮膚炎を起こすことがあります。一緒にいる飼い主さん家族も足などを刺されてしまい、同じように痒くなることがあります。
また、ノミがサナダムシ(瓜実条虫)を媒介し、ペットの腸に寄生します。感染すると、ペットの肛門や寝床に一見ゴマのように見えるサナダムシの死骸が見られたりします。
マダニは人の目に見える大きさで、吸血していないときは 約3~8mm、吸血したときには 豆粒大くらい1~2cmにも膨れ上がることもあります。皮膚に噛みついたまま、1週間前後吸血し続けます。
マダニが媒介する病気は色々ありますが、特にSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という恐ろしいウイルスによる感染症が近年増加しています。
ワンちゃんは感染しても無症状であることが多いですが、発熱、元気食欲の低下、嘔吐や下痢など消化器症状が見られます。
ネコちゃんも発熱、元気食欲の低下等が見られますが、致死率が高く、60%が1週間以内に死亡します。
人間に感染すると、約6日~2週間の潜伏期間の後、発熱や消化器症状、頭痛、筋肉痛、神経症状、皮下出血や下血などが認められ、命を落とす(致死率27%)こともあります。
人も犬猫もSFTSウイルスに対するワクチンや特別な治療法はなく、予防がとても大切です。
マダニは草むらに多く、特に暖かくなる春から晩秋まで活動が活発になるので、ペットだけでなく、飼い主さんを守る為にも予防薬の投与が必要です。
※ マダニは、特に毛の少ない目、口周り、耳、胸、内股、お尻周りなどに付きますが、もし体に付いているマダニを見つけた場合は、取ろうとはせず病院へ来て下さい。無理に取ろうとして引っ張ると、マダニの胴体だけがちぎれ、頭部が犬の体内に残ってしまいます。
【フィラリア・ノミ・マダニ予防薬について】
予防する対象によって、薬の形態や1回分の効果期間に違いがあり、価格にも幅があります。
・フィラリアだけ
・フィラリア・お腹の寄生虫
・ノミ・マダニだけ
・フィラリア・ノミ・マダニ・お腹の寄生虫
ペットの生活環境や投与のしやすさなどで選んでいただけますので、どうぞお気軽にご相談ください。