
マダニは春から秋にかけて活動が活発になり、それに伴ってマダニが媒介する感染症も発生します。
その中でも近年発生が増加している『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』は、イヌやネコだけではなく人にも感染し、重篤な症状が現れたり死に至ることもある恐ろしいウイルス感染症です。
イヌ・ネコに感染すると、元気・食欲消失, 発熱, 消化器症状(下痢・嘔吐等)・白血球,血小板数減少といった症状が現れます。(イヌは症状が出ないこともあります。) 治療として特異的治療薬はなく、対症療法(病気の原因をのぞくのでなく、病気に伴う症状を和らげたり、消すための治療)のみで、致死率はイヌは26%、ネコは65%と非常に高くなっています。
人に感染すると、発熱, 消化器症状, 頭痛, 筋肉痛、さらに意識障害等の神経症状, 出血症状(歯肉出血や下血等)が現れ、致死率は27%と非常に高いです。以前は西日本のみでの発症が報告されていましたが、近年徐々に中日本, 東日本地域へと拡大しており、私達の周りでもウイルス陽性マダニが生息している可能性があります。

お散歩などの外出時に道ばたの雑草の茂みに入ったり、河川敷などに行くことで、ペットにマダニが付着する可能性があります。外から帰った際には、ペットがマダニに咬まれていないかチェックしましょう。吸血前のマダニは体長が1~5ミリくらいでとても小さいです。特に毛の薄い目・鼻・耳・指の間などを観察してください。
ノミ・マダニの駆虫薬には食べるタイプ(効果は1ヶ月間)と首筋に塗るスポットタイプ(効果は6週間)があります。(当院)
お外に行くペットには駆虫薬を投与されることをお勧めします。(4~11月頃)

マダニが犬や猫の体表にしっかりと食い込んでいた場合は、無理に取ろうとせず動物病院に連れて行きましょう。
無理にマダニを取ると、マダニの口の部分が動物の体に残ってしまうことがあります。
また、取り除いたマダニに人が咬まれるとSFTSに感染する可能性がありますので注意しましょう。SFTSウイルスに感染した犬や猫に噛まれたり、血液などの体液に直接触れることで感染することも報告されています。